2022/07/04
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ゴリラ・オフロード仕様-26:自作チェーンスライダーの製作その2

※2017年・夏頃の作業です。

購入したMINIMOTOのスイングアームにはチェーンスライダーがついていたのですが、スイングアームの垂れ角が大きいため、それではカバーしきれないので新たに大きなものを作ります。

素材はナイロン、ヤフオクで端材のブロックをゲットしました。できればPOMを使いたかったのですが、意外とお値段が高いのと良い塩梅のナイロンのブロックが出品されてましたので。

まずは必要な大きさを切り取ります。切断に使うのは木工用の普通のノコギリです。こういうときにバンドソーがあれば便利なんですが、買っても年に数度使うかどうか、場所もとりますので購入は躊躇してます。

最初は金ノコで切って見たのですがなかなか切り進まないので木工用のノコギリを試したところ、金ノコよりは切れるって程度です。

これが切り出したナイロンのブロックです。
なんだかマグロの切り身みたいっす。

この切り身をですね、フライスで現物合わせしながら削っていくのです。使用するエンドミルは金属用です(これしか持っていないし)。

不定形なのでかなり面倒な切削作業となりました。相当な切削量で8割くらいが切削屑になったかも。正直、難易度の高い切削でしたのでできれば2つ目は作りたくない!

さて、このスライダーのマウントですが、スイングアームにナッターでM5のネジ穴を設けてマウントすることにしました。様々なスイングアームで見られる手法ですし、目の字断面だし、強度のあるピボットの接合部に近い箇所なのでナッター穴程度で強度的な問題は出ないと思います。

こんな感じで出来ました。ナッターって便利です。この画像から、スイングアームに密着して装着できるよう、溶接の盛り上がり部分を削ったり、複雑な削りになっているのが分かると思います。

ピタっと装着できました!

ブルーのナイロンは色味的に少し抵抗がありましたが、装着してみるとこれはこれでなかなかカッコよいです。

チェーンはプロトタイプ作業用に古いものを使っているのですが、バッチい状態で触るたびに手が汚れるので思い切って灯油付洗いしました。

シールチェーンもこのように洗浄できると楽なんですけどねぇ。

というわけで、チェーンを装着してチェーンラインもキッチリ出て、なおかつ接触部はスライダーでカバーされていることを確認!


これでリアホイール周りは、
・スイングアームアクスル加工
・ホイールスペーサー作成
・ブレーキキャリパーサポート製作
・ドリブン&ドライブスプロケット問題解決
・チェーンラインとチェーンスライダー施工
で、ひと段落ですね。

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保存版&備忘録:中華デジタルスピードメーターの設定(SS182/Koso RX2Nフェイク)

ゴリラ・オフロード仕様のために購入した中華デジタルメーターです。

この謎多き中華デジタルメーター、設定などで困っている人もいると思いますんで、下記について書きます。

モデル名などについて
配線図と配線接続
設定モードへの切り替え
設定モード項目と設定方法
操作方法
 >
時刻と速度&距離単位の設定
 >表示切り替え
 >トリップメーターのゼロリセット
 >デジタル表示部バックライト色切り替え
コネクターのカスタマイズと防水対策


モデル名などについて:

アマゾンやeBayやAliExpressで売っているノーブランド中華メーターですが(KosoのRX2Nのフェイク品)、非常に多くの中華ショップ・中華マニファクチャラーが取り扱い販売しているようでモデル名はざっと調べたところ、

SS182
M-SS182
HJC-YB010(182)
GK2112085
TERFU
HuangShan Benma
MTIT-022
BMAASMM003
SM0007
SKU410590

と様々です(探せばもっとあると思います)。
ちなみにワタクシはeBayで$30くらいで購入、パッケージの箱にあるモデル名らしきものはこれだけ。


おそらくSKU410590-1Q010がモデル名かと思います(多分)。


配線図と配線接続:

ワタクシの買ったメーターには配線マニュアル(下記画像のA)がついていたのですが、これが超ウソっぱち(笑)。別のメーターのマニュアルなんじゃないかと。しょうがなくWebで探して見るとアマゾンで売ってるらしきモデル名SS182で配線図がありましたので、一つ一つ結線して調べたら、これでドンピシャなようです(下記画像のB)。

※配線図の入手は「SS182 メーター 配線」で画像検索すると沢山ヒットします

ケーブル1本1本の色はかなり違いますが、コネクタの番号と機能は一致していました。


各配線は次のように接続します:

番号 接続先 備考
1,2,3,4,5,11 ギアポジションセンサーがあれば各ギアポジションのケーブル、なければ未接続。
モンキー/ゴリラの4速リターンのギアポジションセンサーについてはこちらの記事(リンク)を参照してください。
それぞれ1速〜6速のギアポジション表示
6,14,18 付属の速度センサーコネクター 速度検出表示
7 EFIワーニングがあればそれを、なければ未接続かGND接続 EFI警告灯
8 水温計センサーを接続 水温警告灯
9 燃料ゲージセンサー、なければGND接続 燃料計表示
10 ニュートラル検出ケーブル、ギアポジションセンサーがある場合はそのニュートラルケーブル ニュートラルランプ表示
12,16 LRそれぞれのウインカーのケーブルを分岐して接続 LRウインカー表示
13 ハイビームへのケーブルを分岐して接続 ハイビーム警告灯
15 電源のGNDケーブル、メインハーネスのGNDに接続 本機のGND
17 イグニッションコイルに接続するパルス(黒黄、要は緑でない方)を分岐して接続 タコメーター動作表示
19 イグニッションへ向かう常時通電の+12v電源、バッテリの+線を直でも可 時計や設定保持のための常時電源
20 イグニッションから出るイグニッションONで通電となる+12v電源 本機の動作電源

接続で注意することはほぼないかと。あるとすれば
・9番の燃料計のケーブルは燃料計センサーがなければGND接続(繋がないと燃料警告灯がつきっぱなしになります、数秒間の平均値で反応しますので接続してしばらくすると警告灯は消えます)
・速度センサーに繋がる3端子コネクターの真ん中14番はBack Lightではありません、おそらく速度センサーのアースかと(これはメーターからのコネクタに繋げるだけなので特に気にする必要はないです)。


設定モードへの切り替え:

困ったのは設定方法です。
気筒数を設定しないとタコメーターが機能しないし、タイヤ外周長を設定しないと正しい速度が表示されません。

SS182の設定方法を詳しく書いているブログがいくつかあったのですが、そのどれもが「設定モードに入るにはメーターの両方のボタンを同時長押し」ですが、ワタクシの購入したものは時刻変更モードになるだけで設定モードにはなりません。

昔、コンピューターゲームの類でやった隠しコマンド探しのようにアレコレいじって見つけましたよ設定方法!
私の購入したメーターで設定モードに入るには、イグニッションOFF(電源OFF)の状態から

1. Lボタン(向かって左のボタン)を押したままイグニッションON(電源投入)
2. 起動デモが終了したらデジタル表示部が設定モードになる
3. Lボタンをリリース

これで下記の画面の設定画面が表示されます。


このメーター、どうやら市場には2種類のものがあるようで以下の違いがあります
・メーターの両方のボタンを同時長押しで設定モードになる機種
・Lボタンを押しながら電源投入で設定モードになる機種


私のは後者で情報が不足気味の方の機種になります。
※どちらも配線接続は同じなようです(ソースはワタクシのこのメーター)。
※後者の場合、バッテリレスだと設定困難なので注意
※そもそもバッテリレスだと19番から供給されるスタンバイ電源がないので設定内容がいつまで保持されるか謎です。

ここでは後者のタイプの設定方法と使用方法を解説します。前者のタイプは他のWebページを探してください。


設定モード項目と設定方法:

設定画面ですが、以下のようになっています:


1:気筒数(1〜8)
2:燃料計抵抗値(1=100Ω, 5=500Ω)
3:水温計設定(C=摂氏, H(K)=華氏)
4:タイヤ外周長(mmで設定)
5:距離計リセット回数(設定不可?)

温度表示なんてないのに摂氏華氏の切り替えが謎です。5番の距離計リセット回数というのはよく分かりません。

設定方法ですが、Lボタンの長押しで設定対象の切り替え、Lボタンのクリック押しで設定値変更です。Rボタンは使いません。何もボタンを押さずに放置すると通常モードに切り替わります。
タイヤ外周長は千の桁→百の桁→十の桁→一の桁と、Lボタン長押しで対象を移動です。


操作方法:

このメーターにはL/Rの2つのボタンがあります。


時刻と速度&距離単位の設定
1. Lボタンを長押しすると時刻の時間が点滅を始めます
2. Rボタンで時間をセット
3. 時間が点滅の状態でLボタンを長押しすると時刻の分が点滅を始めます
4. Rボタンで分をセット
5. 時刻の分が点滅の状態でLボタンを長押しすると速度&距離単位が点滅を始めます
6. Rボタンでkm/mileを選択
※要はLボタンの長押しで設定対象を移動、Rボタンで設定値変更です
※何もせず放置すると通常モードに戻ります。

表示切り替え
Lボタンのクリック押しでデジタル表示内がODO→トリップ→電圧とローテートで切り替わります。

トリップメーターのゼロリセット
Lボタンでトリップ表示に切り替えてRボタンを長押しするとゼロリセットします。

デジタル表示部バックライト色切り替え
Rボタンで青/燈と切り替わります。


コネクターのカスタマイズと防水対策

ワタクシ的にこのデジタルメーターを車体に組み込む際、とても困った問題がありました。それは接続ケーブルが短いこと。


アッパーカウル内やヘッドライト付近で接続するならこれでもいいのでしょうが、ワタクシの場合、接続はタンクの下に集中させたかったのです。これじゃタンク下まで届きません。

そこでケーブルを延長するために色々と方策を練ったのですが、手っ取り早い方法として「途中でぶった切って配線を継いで延長する」ですが、これは切った張った感がでてしまいスマートではない、また表示不良などの不具合が発生した際に疑う箇所(=延長で継いだ箇所)が増えてしまいます。現状のコネクタのメス/オスを買ってきて延長コードを作成しても同じことですね。

最善策はケーブルそのものを作り変えるです。

メーターユニット側には20pinコネクタで接続されていますが、このコネクタ、汎用品らしくAliExpressで売ってました。


このコネクタを売ってるページは以下です(2022/07現在、2つの出品があります):

Gray 20 pin not waterproof auto connectors plug male 179057-6 auto accessories wire connection plug 179057-2


1 Set 20 Pin/Way Automotive Wire Electrical Connector Auto Socket With Terminals

端子の予備は入っていませんので圧着失敗などに備えて2つくらい買っておくことをオススメします。

このコネクタに使える最も太い配線であろうAWG-18で新たなケーブルを作りました。細身の端子を圧着できる電工ペンチが必須です。


ケーブルを製作する場合、本体コネクタ部の防水のためにケーブルカバーを同時に施工することをオススメします。ワタクシが施したのはキタコのコネクターカバー(0900-755-03002)です。
※コネクタを組んだ後でも9pinコネクタ側から挿入すれば首の部分を通せないことはないです、ギリ通ります。



このカバー、コネクター部をカバーするには少し長いのでハサミで長さを調整し、装着後にタイラップで締めるとイイ感じの防水カバーとなります。
こういう感じ↓↓↓になります。



雨中の走行や洗車などでかぶる程度であれば十分に防いでくれることと思います。

色々と情報が錯綜気味でヤヤコしいメーターですが、設定してしまえば安価で十分な働きをしてくれるコスパの良いメーターかと思います。KOSOさんにはちょっと申し訳ないですが...

2022/07/03
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ゴリラ・オフロード仕様-25:リアサス・チェーンガイドの製作

※2017年・夏頃の作業です。

前回記事で発覚したリアサスマウント部とチェーンの干渉問題、静止状態ではギリ当たらないけど、走ると確実にリアサスマウントボルトをチェーンで削ることになるのでチェーンガイドまたはチェーンスライダー的なものを作って回避しようと。


まずは旋盤とフライスでガイドローラーを作ってみました。
こんなやつ


黒い樹脂はPOM(ポリペンコアセタール)でこういう類いのものを作るには極めて適したエンプラです。プロトタイプなので金属カラーにネジ止め、ベアリングは入ってません。

こういう風に取り付けます。


悪くはないんですが、なんとなくしっくりこない、こういうものはもう少しシンプルでスマートでないと「ゴテゴテ取り付けた感」が出てあまり望ましくないですね。ローラータイプは思いつきで作るんじゃなく、もう少し練ってから製作した方が良さげです。

というわけで問題となるリアサスマウントボルトの頭そのものをカバーするスライダー的なもので対処してみようと、再びPOMでこういうものを作ってみました。

ヤワな感じがすると思いますが実物は非常に頑丈で強度のあるものです(POMの強度をナメてはいけない)。

こんな風にボルトに被せ、ワッシャー的な感じでボルトと共に固定されます。

内径がボルトの頭より少し大きめになっているのはソケットレンチの挿入を可能にするためです。ちなみにボルトはSCM435(クロモリ)で強度区分10.9です、こういう箇所にホムセンで売ってるような鉄ネジ使っちゃダメっすよ、強度区分が4.8とかなので大変危険です。

取り付けるとこんな感じになります。ボルトの頭とリアサスマウントの頂点部をチェーンから守ります。機能的な目的はほぼ達成、見た目もシンプル&スマートで良いです。

が、実は問題が発生
・このスライダーが挟まる厚み分、リアサスマウントボルトの長さの損失が出てしまう。
・リアサスマウントボルトを必要なトルクで締めこむとこのスライダーは割れる可能性あり
こんなの作る前に気づけと>俺

ということでワッシャー的に挟むのではなく、ボルトの頭に小ネジのネジ穴を作ってボルトの頭そのものにネジ留めという手法にしました。


彫刻刀なんかを駆使して6角に掘るのが手間だった。
これで完璧です!

あ、そうそう、Webikeで買ったドライブスプロケットも到着しました。
信頼のSUNSTAR製、7mmオフセット16Tです。


チェーンは現時点ではチェーンライン出しなんかで張ったり外したりしますので古いままです。車体完成後のシェイクダウン直前に新品のチェーンに貼り替えます。

2022/07/02
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ゴリラ・オフロード仕様-24:ドリブンスプロケット確定と新たな問題勃発

※2017年・夏頃の作業です。

リアホイールには90年代頃のYZ80のリアホイールを使用するのですが「以前からドリブンスプロケをどうするか?」という難問がありまして、色々と探し回ってようやく解決へ。


まず、YZ80のチェーンサイズは428です、一方、モンキー/ゴリラは420。ですので、YZ80のホイールに装着可能な420チェーン対応の48Tのスプロケを探したのですがそんなもん無いです。長らく探していく内に流用可能なものを発見。それはカワサキKX60/KX80の旧モデルのスプロケ、420チェーンです。

KX60/KX80のスプロケはインナーのホールが100mmでYZ80と同じ、異なるのはマウントのPCDだけで
・KX60/KX80:120mm 4穴
・YZ80:116mm 4穴
ということで、KX60/KX80のスプロケを買ってマウントの穴を開け直せばよし、と。

ダメだった場合を想定して比較的安価で穴を開けやすいもの、ということでUSのJT Sprocketというメーカーから出ているスチールのスプロケを購入して穴を開け直しました(皿ネジ対応の穴がそれです)。


と書くと穴あけは簡単そうですが、焼き入れされている炭素鋼(たぶんS45Cあたり)ですので、ドリルビット(HSS鋼などに焼き入れ)の方が硬いので穴が開くことは開くのですが、それでもドリルのビットを6本くらい、皿ネジの凹を掘るビットを2本ほどダメにしました。

ダメにしたドリルのビットの値段を考えたら安価なスチールよりもAFAMあたりのアルミスプロケの方がよかったかも、と後悔。

まぁ、これでドリブンスプロケ問題は解決です。

ドリブンスプロケができましたんで早速チェーンラインの割り出しです。

上記のような状態にして純正のスプロケの何mmくらい外側に定規がくるのかノギスで計測して割り出した結果が7mmです。ってことで7mmオフセットのスプロケを買えば解決ですな...

とか思ったのですが、定規を当てていて新たな問題が発覚!
定規がスイングアームのリアサスマウントにやたら近い、干渉はしないけど危うい近さ!

嫌な予感がするのでリアサスのマウントボルトを差し込んだ状態で想定するチェーンラインにチェーンを合わせてみたところ...


リアサス本体やリアサスマウントには当たらないけど、チェーンが上下に暴れた際やシフトダウンでチェーン上側が弛んだとき、リアサスマウントボルトに思いっきりチェーンがヒットします。

ヒットしたところですぐに何か起きるってことはないですが、ボルトが削れる、チェーンにダメージがあるってことで、この箇所にチェーンスライダーが必要なことが確定!

1つ問題を潰せば新たな問題が発覚、カスタマイズあるあるっすね。

2022/07/01
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ゴリラ・オフロード仕様-23:ステムチューブのネジ切りとフォーク装着

※2017年・夏頃の作業です。

「ゴリラ・オフロード仕様-06:ステムの加工&組み立て」で製作したステムをフレームに取り付けるため、ステムチューブに新たにネジ山を追加します。

ステムチューブのネジサイズはM22でピッチは1.0mmです。かなり特殊なネジですがダイスはeBayで入手しました。届いてみるとデカいダイス(当たり前か)。このダイスのためだけにダイスホルダーを買う羽目になったっす。

ステムをバイスに固定し、ステムチューブのネジを切ります。「ゴリラ・オフロード仕様-06:ステムの加工&組み立て」でネジ切りに具合のよい太さに旋盤で加工済みです。

ネジ切りしていきます。
さすがにM22だと手応えあります。

ステムにインナーレース、ヘッドチューブにアウターレースを打ち込み、ベアリングを組み付けフレームに組み付けます。もちろんベアリングは新品のベアリングです。


フォークを組みこみ、ホイールを装着します。

これで前後ホイールがついて車体を支えられる状態になったっす。